私好みの新刊 2024年ゆ7

 

『うかぶかな? しずむかな? 川村康文/文 遠藤宏/写真 岩崎書店  

  「浮力と密度」の少し難しい問題を、小さな子どもたちの遊びを通してうまく実験し

ている。理屈抜きで「感じる」を重視している。写真もきれいで子どもたちも親しみを

持つおもちゃを中心に展開している。

 まず、水槽が出る。右ページにはいっぱいのプラのおもちゃ、「おみずに 入れちゃえ」

と書いている。「なにをしてあそぶのかかな」といぶかっていると「うかぶかな?しずむ

かな?」と表記。次ページをくると、プラボールと小さな消防車を水の中に入れようとし

ている。「うかぶかな?沈むかな?」と考えているとボールは浮いて消防車は沈んでいる。

ボールは水の中で押していても・・次ページでは浮かんでくる写真。次はいろんな形に作

った粘土を丸めて一つの玉にする。「うかぶかな?しずむかな?」・・。次ページに沈んだ

写真。こんどは丸い粘土を形を変えてこねこね。真ん中をちょっとへこませて舟の形にす

ると「うかぶかな?しずむかな?」・・。次ページの写真は水に沈んだ写真。ここで舟形の

大きさにも気づかせている。次は、粘土をもっと平らにして薄くして大きな舟に変身させ

る。「これでどうだ!」・・次ページの写真。浮かんだ。底面の水の押す浮力と重さの関係

だが、気づくかな。気づかなくていい。「ふしぎだな」と感じるだけでいい。次はビニー

ルで出来た動物や魚、恐竜などのおもちゃ。大小はいろいろ。「どれ、うかぶ?どれしずむ?

・・重い、軽いの重さを測っている。さて、軽いものと重い物をまとめて水に入れると「う

かぶかな?しずむかな?」・・、あらふしぎ次ページの写真は重いプラモデルが浮いて、軽い

プラモデルは沈んでいる。ここで、「はて、浮く、沈むは、重さだけではないんだ。」と

考える。こんどは、すいかを持ってきたり、にんじんやピーマンをもってきたりいろいろ

試している。小さな子どもたちも楽しめる本である。 

                          20242 3刷  1,400

 

『動物園の24時間』 ラン・クック/作 スティシー・トーマス/絵  小学館

  動物園ではさまざまな動物たちがくらしている。それらの動物たちが健康で居続けるに

は飼育員さんたちの影にかくれた努力があることは想像に難くない。バックヤード見学な

どは時々行われているが、それだけでも目につかない。飼育員さんたちのかくれた動物の

世話のようすがマンガでたくさん紹介されている。舞台はイギリスのチェスター動物園で

あるが、日本の動物園もよく似た世話をされている。

 まず、ジャガーの赤ちゃんが生まれた場面から。「23週間は非公開」らしい。順調に

育っているか見た上での公開らしい。オランウータンのバニョルがカワウソの部屋に遊び

に行くとか。ならば居住区をつなげるとか。動物園には「うんち発電所」があるとか。バ

イオガスを使った発電で管内電力の半分は発電しているという。日本の動物園もバイオ発

電しているのかな。これは日本の動物園も力を入れているが、できるだけ野生空間と同じ

ような環境を作ることが動物たちのストレスを和らげる。餌を上げるにも、各動物の感覚

が退化しないように工夫されている。両生類によってはツボカビ症という病にかかりやす

いのでその予防に心がける。動物園ではこうした絶滅危惧種の保存に力をいれている。こ

んどは大型のヘビ。ヘビの健康診断は大変、血液サンプルをとるのも何人もの協力がいる。

X線検査もするらしい。次は、広い熱帯雨林広場。それぞれに作は無く、鳥たちが広い空

間を飛び回っている場面。これは日本でもされているケージか。次は、絶滅寸前のふくろ

うオウムの部屋、飛べないので世話も大変。健康診断や食事作り、ヒナたちに与える粒度

食造りと飼育員さんたちの仕事は多忙をきわめる。時には、飼育員さんが鳥の形に変装し

てヒナにエサを与えることもある。けがなどでくちばし、足などなくした動物には人工装

具もつけているとか。その他、さまざまな工夫が記されている。動物園の裏方が楽しめる。

  2023121,600